田舎の海辺の町、鼻崎町の商店街で仏壇店を営む堂場菜々子。夫の修一は日本有数の食品加工会社である八海水産の社員。小学1年生の娘の久美香は車いす生活を送っている。
相葉光稀は夫、明仁の転勤で鼻崎町の社宅にやってきた。社宅の仲間と始めた雑貨とリサイクルの店<プティ・アンジェラ>を営んでいる。光希のプリザーブドフラワーは看板商品。小学4年生の娘の彩也子は容姿端麗で、親から何も言われなくてもやらなければいけないことができる優秀な子。
知人の宮原健吾に誘われて、鼻崎町に住み始めた星川すみれ。そこは思い描いたユートピア。より理想に近づけるため、芸術村の仲間と地元の人と祭りを盛り上げようとする。
祭りをきっかけに仲良くなった、菜々子と光希とすみれ。
久美香と彩也子もお祭りから一緒に行動をするようになる。
町で広がる噂とネットの噂。
思い描いたユートピアは、自分の思い通りにはいかない。
人間関係は本音と建前でなりたっているとは思うけど、この本を読むと人付き合いが怖くなる。
最後まで読んでもすっきりしない。
モヤモヤが残る。
ネタバレ注意です。
彩也子の最後の作文から、久美香と彩也子によって仕組まれていたことを知る。
子供だと、侮ってはいけない。
子供たちは、親たち以上にユートピアを与えられた環境でつくり上げるしかない。
物語の本筋は、古い住民と新しい住民との人間関係だと思いますが、絡んでくる殺人事件が気になる。
芝田は誰に殺されたのだろうか?
警察に送られてきた手紙には、共犯者がいることになっている。しかし、それまでは資産家を殺したのは一人で指名手配も芝田一人だった。
菜々子の義母はなぜ、家を出て行ったのか?
残された手紙に書かれていたのは「夫婦は所詮他人。自分の人生をまっとうしたいので、お義父さんのことはよろしく頼む」
駆け落ち相手は殺された。駆け落ちしようとしたくらいだから、殺した相手は憎いはず。捉えようによっては復讐を誓ったように、手紙から感じる。
宮原健吾は結局、犯人だったのだろうか?
すみれが語る菜々子の義母と思われる人物から届いた手紙には、”テレビのニュースで、あの夜目撃したもう一人の男が画面に大きく映しだされていた”としかなく、健吾だと特定はされていない。
菜々子の義母が警察に送った手紙について
この内容が嘘だとしたら。資産家を殺害した犯人はやはり芝田のみ。共犯者はいなかった。義母は復讐を果たし、芝田を岬に埋めた。
殺人者となった義母は家族の元に帰るわけにはいかなかった。しかし、芝田が発見されてしまった。
身内に犯罪者がいることは堂場家にとってデメリットでしかない。
警察に手紙を送ることを思いつく義母。共犯者がいたことにし、テレビに映っていたと書いた。そいつが誰だとは特定していない。
宮原健吾は、偶然行方をくらまして、犯人扱いされたに過ぎないのかもしれない。
もしかしたら、義母に殺されているのかも?
嘘と噂で何が真実かわからない。
モヤモヤが晴れることはなさそう。
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