オススメ度★★★★★(ラストの真相でそれまでの物語の印象がガラリと変わる)
活字でしか楽しめない面白さ。
漫画、映像化の必要はなし。
秋吉理香子さんの本を読むのは、これで6作目。
登場人物の個性がはっきりしていて、いつも通り読みやすい。
秋吉さんの作品の中で今のところ一番のオススメです。
読み終わって、すごいと思いました。
読み進めて感じていた印象が、ラストでガラリと変わります。
そうだったのか、
あれは、
えっ、
えっ、
と驚きで疑問符も浮かびます。
読み返してみたくなる本です。
ただ、幼児が残酷な死を遂げる物語なので、苦手な方は読むのを避けた方がいいです。
ラストまでには納得できるだけの材料はありますが。
不妊治療についても書かれているので、苦しい思いをしている人には辛いかも知れません。
抵抗がない人にはオススメです。
活字の面白さを改めて教えてもらいました。
この小説のつづきを書きました。
よろしければどうぞ。
これ以降ネタバレします
読み始めて中盤まで、さすが秋吉さん。いつも知りたい犯罪者、警察、被害者の3方からのアプローチの小説かと、読んでいました。
しかし、全く違った展開になり驚き。
当初は、真琴が男か女か気になり、多分この描写は女だろうな、と読んでいって、刑事の坂口がp148「田中くん」と呼んだので、やっぱり男と思ったら、真琴は女だった。
坂口は女性もくん付で呼ぶ人だった。(p17「そうだった、谷崎くんだ」、p61「谷崎くん、君ねぇ……」)
このことが気になり、他のことへの注意がそらされ、見事に驚きの展開になったのかも。
仕掛けは序盤から仕込まれています。
叙述トリックでよくある嘘ではなくて、意味の取り違えを利用したもの。でも、親切なのは、言い換えをしないこと。
保奈美の章で、娘(ママ)は真琴。であることなど。
最初読み終わった後は、薫が二人いるのかな、とも思ったりしました。
細かく散りばめられた繋がる要素。関係ないと思ったことが繋がったり、裏の行動が分かったり、面白い。
(寝不足、シルバーのスバル)
保奈美の章
一度読んだだけでは気づかない、再読して気づいたことを振り返りたいと思います。
初めて読んだ時の印象を初: 再読しての印象を再: にしています。
特に保奈美の章では、初めて読んだときには気づかなかったことがいっぱいあります。
●1章 保奈美
保奈美 46歳 翻訳のアルバイト
薫 3歳 ことみ幼稚園 登園時間10時
p4 15日 日曜日 昨日も遅くまで起きていた。(初:仕事のせい 再:由紀夫の死体の処理)
p5 14日 土曜日 母親(初:保奈美 再:真琴)が夜遅くまでそばにいなかった(由紀夫の死体の処理をしていた)こと、それから朝方になって咳が止まらなくなり(寒くなり乾燥してくるとしつこく続く)何度も目が覚めたこと
夫 靖彦 車販売 営業職
p11 仕事部屋 ノートパソコン
p13 『東京都藍出市で幼稚園児を遺体で発見 猟奇殺人か』
読みたくなかったが、情報は欲しい(初:薫を守るため 再:真琴、自分のために捜査がどれだけ進んでいるのか)
p15 15日朝5時半ごろ、犬の散歩をしていた主婦が発見
藍出警察署に特別捜査本部
遺体 4歳の男児
他人事ではないのだ(初:薫も被害者になるかも 再:自分も関わっている)
犯人(初:他人 再:真琴)は捕まるだろうか?
p14 ひとり娘を失うなんて(初:薫が殺されるなんて 再:真琴が逮捕されるなんて)、考えたくもない──。
リビングにテレビ
土地勘があるだなんて!この近隣にいるだなんて!
(初:身近に犯人が潜んでいるかもしれないので怖い 再:捜査の手が真琴に及ぶかも知れなくて不安)
何が何でも自分の手で娘(初:薫 再:真琴)を守り抜くしかない。
「──ママぁ?」
幼い、涙声が聞こえる。気がつくと仕事部屋のドアに立つ薫。
(初:薫が保奈美を呼んだ。 再:薫が起きて真琴を呼んだが、いないことに気づき泣きはじめた)
p15 寝起きに母親(初:保奈美 再:真琴)の姿が見えないと、すぐに不安がって泣き出す。
「ごめんね、ママはね、お仕事」
(初:保奈美が翻訳の仕事 再:真琴がサンズマートでアルバイト)
この子を、娘を、守ってみせる。
(初:薫を強く守ることの決心 再:薫、真琴を守ることの決心)
母親は、娘(初:薫 再:真琴)を守るためなら全能(どんなことでもできること。完全無欠な能力)になれるのだ。こんな事件に、我が家(初:保奈美、靖彦、薫の3人 再:真琴も含めた4人)を脅かせはしない。
しっかりと娘を監視し、徹底的に身の安全を保持する。
──わたしの、奇跡の子なのだから。
(初:保奈美の子である薫を誰にも脅かさせない 再:殺人を犯した真琴を犯人にしないよう最大限尽くす)
●4章 保奈美
16日 月曜日 翻訳の期限 明後日
あの事件が気にかかってしょうがない。(初:薫が被害に会うのではないか心配 再:真琴が逮捕され奪われるのではないか心配)
可哀想な男の子。あんなむごい殺され方をして、いいはずがない……。(この文章はいらなかったかも、ちょっとアンフェア)
p46 眩しいばかりの、娘の笑顔(初:薫 再:真琴)
子供を持とうと努力を始めた時から、女は母親となるのかもしれない。(再:真琴も同じ)
p56 田畑の言葉:
気持ち悪い奴。
怪物。
娘が、気持ちの悪い怪物に──
保奈美の手が震える。
(初:薫が被害者になることを想像して怯える 再:真琴のことを形容した言葉に怒りを覚えた)
●7章 保奈美
16日 月曜日
p84 「その子だったら……誰か男の人と公園を出て行きましたよ。親しげに話しかけていたので、てっきりご家族かと--」
(初:怪しい男 再:靖彦)
p87 靖彦 納車先近所 直帰 薫と会って公園に戻る。保奈美がいなかったので帰宅。
p88 家庭の中心である母親が不安になると、家族全員に伝染する。特に娘は敏感に察知してしまう。
(再:母親は保奈美自身でもあり、真琴のことでもある。保奈美が不安になれば、真琴が。真琴が不安になれば、薫が)
「 まるで薫が犠牲者になるって決めつけているみたいじゃない」
「薫が狙われるわけないんだから!絶対に大丈夫なのよ!」
(初:被害に合わないようにと願う願望のヒステリ)
(再:真琴が犯人を知っているので、自分の娘(薫)が犠牲者にならないことを知っている)
「 また、あんな事件が起こったらと……薫がレイプされて……ああ」
(初:由紀夫の事件と同じ被害者になったら 再:真琴のレイプ事件)
p91 「やだぁ、ママ(初:保奈美 再:真琴)を待ってる。昨日、約束したもん」
からあげとハンバーグをたくさん作る。 残しておいたかずにラップをかける。
(初:なんで残しておくのかな 再:真琴のため)
「やだぁ、ママ(初:保奈美 再:真琴)を待ってる。昨日、約束したもん」
(※いつ約束したの?昨日会話した描写はなし、薫が起きている時に真琴は在宅していない)
p92 23時過ぎ。ダイニングルーム誰もいない。
(再:真琴は帰宅し、保奈美の作り置きしたおかずを食べた)
大丈夫。大丈夫だ。事件なんて起こらない。娘はちゃんと、ここにいるんだから--。
(初:薫が事件に巻き込まれるわけがない。 再:再び真琴が人殺しを犯すわけがない)
p95 ベランダから双眼鏡で眺める保奈美。田畑や河原のある方へ向かう男。
向こうから、こちらが特定できるはずがないのに。けれどもレンズ越しに目があったような気すらした。
──あの男は、もしかして……
(初:怪しい人間を見て、今回の犯人と思い込む 再:真琴をレイプした蓼科秀樹と認識)
●10章 保奈美
19日 木曜日 不審者通報から3日
p123 16日これで終わった。もう大丈夫。もう安全だ──
(初:犯人と思われる人物が警察に捕まる 再:真琴をレイプした蓼科秀樹が再び真琴を脅かす危険性の排除)
※あの男=蓼科秀樹と保奈美はわかっている
蓼科秀樹が町を歩いていると思うと不安。
p124 20日金曜日(さらに1日過ぎ)
p127 ──警察は、頼れない。
坂口と谷崎が訪問。
p129「母親の──勘です」そうとしか言いようがなかった。
(再:真琴から蓼科を遠ざけたい保奈美、本当の理由はいえない)
p139 男(蓼科秀樹)の身元を探る
●13章 保奈美
20日 金曜日(p170)
p167 男 畑で作業
20分歩くとアパート 1階の端
東京都藍出市荒井町1丁目1 コーポ藍出103 蓼科秀樹
p169 畑を借り、保奈美のマンション付近をうろつく
(初:思い込みすぎ 再:真琴を監視していたのかも)
21日 土曜日(p170)
蓼科を探る
書き置き「単発で通訳の仕事が入りました。遅くなります。夕食は冷蔵庫の中」
(真琴が母が遅くなると思っていた理由)
午後、ファーストフード店 蓼科の合鍵を作る
p177 蓼科の部屋 キッチンの下にあったアルバム
娘が、写っていた。
(初:なんで薫の写真が 再:真琴の写真)
p180 娘は必ず、わたしが守ってみせる。
(初:犯された女性と薫は年齢が違いすぎる意識しすぎじゃないのか 再:真琴を守る決意)
その後、真琴がさとしを処理している最中、帰宅。
●16章 保奈美
24日 火曜日 午前3時
p214 それならいっそ──
いっそ、この手で──
(初:思い込みが激しく間違った行動 再:真琴を守るための決意)
p215 この男の手から、なんとしても娘を守らなければ。
大切な、愛おしい娘。
(初:薫を守る 再:真琴を守る)
p222 だからわたしが必ず、娘を守る。
──手段は選ばない。
蓼科の部屋に進入
21日午後 焼酎半分
23日昼間 焼酎1/5 睡眠改善薬を粉末にして仕込む(規定の3倍)
24日 焼酎0
カーテンレールにビニール紐を通し、首を吊り殺害。
スタンガンは使わなかった。(体をつついただけ)
p224 さあ、あともうひと仕事だ。
(蓼科に幼児殺害の罪をなすりつける)
まとめ 保奈美の章
初めて読むとき、保奈美の章から真琴の存在はほとんど感じられません。しかし、再読すると、真琴の存在をたくさん感じることができます。
不妊治療の末、ようやく授かった大切な命、真琴。それを脅かす蓼科の存在。
幸せに向かい出したと思った矢先に、真琴が殺人を犯したことを知ることになります。
保奈美はその行為の意味がすぐ理解できた。
娘のために尽くす保奈美。母の娘を思う強さを感じる。
真琴の章
犯人は誰なんだろうなと読み進めると、序盤で猟奇殺人の犯人がわかって驚くことになります。
物語の肝は、犯人当てではないということ。
●3章 真琴
藍出第一高校 剣道場
真琴 2年制 副主将 2段
綿貫 2年生 主将
15日 日曜日 真琴バイトが長引いて部活に遅れる
(p81 刑事の聞き込みがあった)
p30 「あー、真琴は子供好きだもんなぁ」
高校から公民館まで 歩いて15分
4時過ぎ 七海高校の生徒(初:男か女かわからない 再:男)から告白
(真琴が女性とわかったので告白してきたのは男だろう)
p32 ああ、これだから女(初:告白してきた相手 再:真琴自身のこと)は面倒くさい。
女子が好みそうな封筒
p33 そもそも、真琴は他人が嫌いだ。触れ合うなんと、ぞっとする。(再:レイプの影響)
ちびっこ剣道クラブ 日曜日、水曜日 16:30-18:30
橋本 剣道6段 元教師 15年前定年退職
p35 テツヤ小5(千夏と友達)休み 由紀夫と知り合い(試合も見に来たことがある)
(千夏も男か女かわからない)
p36 身近に誘拐殺人犯がいる恐怖を、理解できていないのだろう。(初:見知らぬ犯人が子供たちを狙っている 再:真琴自身のこと)
p37 晴久と斗真を団地6階まで送る 帰宅20時頃
団地 5階 さんぽんぎさとし 防犯カメラなし
真琴 新しめのマンション 12階(p93)
母親(再:保奈美) 父(再:靖彦)
p42 たくさんのおかず
p43 シルバーのスバル 10年選手 SUVがいい
(p236 蓼科が捜していた車)
「もうちょっと声を落としてよ。テレビの音も大きいわ」
隣の部屋への音漏れを気にして、母がリモコンでボリュームを下げる(再:隣の部屋では薫が寝ている)
テレビがニュースになり事件の話題になると、テレビを消した。(再:真琴が犯人だと知っている保奈美の気遣い)
p44 二の腕に由紀夫に蹴られてできた痣
シャンプーがない 母 替えを置く
(再:死体にもしかしたら微かなシャンプーの匂いがのこっていたのかも。それを消すためそれまでのシャンプーをすて新しいのを与えた)
真琴は起こさぬよう、そうっとドアを開けて自室に入る(初:父母への配慮 再:自室で寝ている薫への配慮)
「『真琴は子供好きだもんなぁ』、ねぇ」(再:薫を思う母心)
●6章 真琴
16日 月曜日 店長からメール。17時までにレジに入って欲しい。
同じクラス 桃子と麻美
高校 正門前からバス 5つ目の停留所 サンズマート
p72 ロッカールーム 制服からポロシャツに着替えエプロン
p73 由紀夫に声掛け 店内の防犯カメラ 映像は1ヶ月保存
店の外、裏口には防犯カメラはない。
p75 配達伝票から由紀夫の自宅の住所を手に入れる。
p76 14日 土曜日 運命の日
由紀夫の方から物欲しげに笑いかけてきた 母親に気付かれないように小さく頷く
(防犯カメラの映像はこの様子は映ってなかったか?)
p77 目を付けてから3ヶ月
偶然:
たまたまシフトに入ったこと
たまたま由紀夫がやってきたこと
たまたま由紀夫が母親に叱られ、戻りたくないと言ったこと
たまたま部活の後に帰宅し、制服から特徴のない私服に着替えていたこと
たまたま真琴の家族がみんな外出していたこと
たまたま--2週間前から剣道部御用達のショップに注文していた新品の防具袋が届き、バイトの前に引き取りにいっていたこと
公園のトイレ。一番奥の個室。由紀夫を防具袋へ入れた。
16日 月曜日17時バイト終了
インフルの森ちゃん(性別不詳)の代わり
p80 ロッカールーム 大学生の鈴木(性別不詳)
p81 昨日、朝イチでレジ入ってたんで来てみたら、いかつい刑事(宮本)が店長と話してて。それから順番に呼ばれました。部活も遅れた
いなくなる前にシフトを上がった
鈴木 昨日(15日)サイパンから帰国
p82 午後5時過ぎ母に「延長頼まれた。遅くなる」とメール。
(※母はスマホを携帯せずに外出。メールを見るのは、薫が失踪したと勘違いしてアパートに戻った後、しかし)
バイトからさとしの団地へ。バスの停留所で3つ。17時半に到着
さとしにいたずらされる女児が泣きそうな顔をしている。
(女児は薫)
泣きじゃくる女児をじいっと見つめた。
(初:さとしを見ていないことに違和感 再:薫のことが気になる)
「おい、女の子をいじめちゃダメだろ。ねえ君、大丈夫」
(初:ねえ君=女児のこと 再:ねえ君=さとしのこと)
(※ここはちょっと苦しい表現かも、”君”は薫のことと考えた方が自然)
(「おい、女の子をいじめちゃダメだろ、ねえ君。大丈夫」 だったらギリギリか)
●9章 真琴
p109 17日 火曜日 藍出第一高校 理科室
(p112 昨日の夜パトカー)
真琴(班長)、桃子、麻美、友彦、弘樹
p112 近所にパトカー
母(保奈美)知らない。
(再:通報したのは自分だが、真琴に心配欠けさせないように嘘)
p115 14日 土曜日 (由紀夫殺害日)
由紀夫自宅に連れて来てしばらくゲーム
父は泊りがけの出張。母が帰宅する前に殺害。
p118 放課後 部活
p122 新聞記事から由紀夫が性的暴行を加えられていたことを知る。
●12章 真琴
21日 土曜日
p153 防具袋を持って藍出第一高校へ
由紀夫を死姦したのは誰?
p154 防具袋、防具を部室へ
自分の部屋 さんぽんぎさとしがゲーム
朝、バイトに行く前、空の防具袋(新しい防具袋)を提げて、さとしの姿を探した。
p156 家族は夕方まで出掛けている。(母:会議 実際は蓼科秀樹を尾行)
防具が入った古い防具袋を持ってバイトへ
p158 「君が、怖いから」
(将来のレイプ犯を排除)
p158 慣れた手つきで幼児のズボンを脱がせる
(初:何で慣れているの? 再:薫で慣れている)
p159 さとしの全身を洗う 頭髪、脇の下、鼠蹊部、肛門、足の裏
母帰ってくる
さとしを病院跡に遺棄
p165 良かった、これで終わった──。
けれども、すぐに不安に襲われる。この穏やかな気持が、今回はどれだけつづいてくれるのだろうか。
(初:子供を殺さないという精神異常者 再:薫を守るためという強い母性の異常な行動)
p165 高城(1年生 女子)
p166 ほっぺに傷
※※改めて防具袋の移動
三本木聡:
新:自宅 p154
新:誰もいない路地裏 さとしを入れる p155
新:自宅 p156
古:自宅(中身:防具) p156
古:サンズマート(坂口と谷崎に見られる)p151
古:藍出第一高校に保管 p153
新:自宅(中身:さとし死体) p163
新:病院跡地(中身:さとし死体) p164
新:藍出第一高校 p165
※防具袋 最後は新・旧ともに高校に置かれている。
防具袋には由紀夫と聡の形跡はとりのぞかれているのだろうか。
(あったとしてもすでに保奈美が処理をすませているかも)
次移動させるとしたら、不自然でないのはちびっこ剣道クラブがある翌日の日曜か、水曜日か。
それにしても、21日の土曜日に防具袋を移動させていたのは不自然な行動な気がする。
由紀夫殺害の14日の土曜日は新品を取りに行ったのでいいとしても。
普段考えられる防具袋の移動
日曜・水曜:高校→ちびっこ剣道クラブ→自宅
月曜・木曜:自宅→高校
剣道の防具が家で手入れするものなら、話は違ってくるかもしれない。
●15章 真琴
23日 月曜日 放課後
担任 佐藤 母 進路相談
p199 21日土曜日 Tシャツにジャージで部活を抜け出す。体育館の漂白剤を持って
廃病院まで 全速力で走って20分。思い直し、高校へ。
22日日曜日 ニュースでさとしのこと報道
サンズマートで事件の話題 真琴は加わらない。
p201 帰宅
母(保奈美)に、刑事が来たか聞く。
(20日 金曜日に坂口と谷崎が来たことを伏せる。心配させないため p258)
23日 月曜日 面談
p210 綿貫の会話から真琴が女性とわかる。
p212「かおるちゃーん……」
(初:次の標的は薫?なんで? 再:大切な娘をおもう)
●18章 真琴
※ここから驚きの連続が始まる。初読では保奈美が苦しい不妊治療を乗り越え授かった娘は薫ではなく、真琴だと気付かされる。
再読ではあまり新しい発見はない。
24日 火曜日
p239 ことみ保育園へ
「薫?」と甘い声をかけた。
(初:真琴の章では、人名の漢字がわからない場合は、ひらがなで表記されていた。前章まではかおるも平仮名だったのが、突然漢字に。知り合いなのと驚く 再:自分の娘なので知っていて当たり前)
「薫もだーいすきだよ、ママのこと」
(初:真琴がママ??)
「あら薫ちゃんのお姉さん」
(初:真琴がお姉さん??)
p242 14歳の時、薫を出産 2歳年上の蓼科秀樹にレイプされたのは13歳
幼少の頃「だってお前の泣き顔、見たくなるんだもん」
13歳中学1年生の冬。強姦される。3日後、手首を切り自殺を図る。
蓼科に嵌められ田中親子。
警察へ被害を届けることはできなかった。
p248 真琴 妊娠したことを知る
p250 母 薫と名付け 出生届を出し 特別養子縁組をした 母の子となった
徐々に薫を愛するようになる真琴
p252 剣道クラブの試合の時、預けた託児所で薫が男児(由紀夫)に噛まれた。
男児と蓼科秀樹が重なり、娘が同じ恐怖を味合うのではないかと不安に襲われる
p254 そしてあの日、恐怖心に突き動かされるまま、細い首に手をかけた。
p255 聡「お前、なんかいじめたくなるんだよな」
真琴が蓼科秀樹から言われた言葉。薫が将来自分と同じ運命をたどるのではと重ねる
その後、聡も殺めた。
p256 いじわるなお友達 ルイくん
男女の刑事が声をかける その場を離れる 真琴と薫
インターホン 刑事の姿
p258 母は刑事が来たことがあるのを隠していた
証拠を処分 机の引き出しの鍵は開いていた ポラロイド写真 中は空っぽ。昨夜(23日月曜日)まではあった。
引出しから かすかな漂白剤の匂い
幼児連続殺害事件の犯人 蓼科秀樹 自殺した。
p260 誰が性的暴行を行ったか-- いや、行ったように見せかけたか
誰が指を切り落とし、処分したか
誰が証拠を持ち去り、引出しを漂白剤で拭き清めたか
ここにもいたのだ。
我が娘のためなら、悪魔にさえなれる母親が--。
二人の母親は、薫を真ん中にして、まるで合わせ鏡のように、慈愛に満ちた神々しい微笑みを浮かべて向かい合っていた。
全てから開放された真琴はとても神聖な気持ちで、薫を抱きしめたまま、客人を迎えるためにドアへと向かった。
まとめ 真琴の章
最終章で明きらかになる。全てが大切な娘のための行き過ぎた行動。
保奈美の「母親は、娘を守るためなら全能になれるのだ(p15)」は娘にも受け継がれていた。
娘を自殺に追いやった。蓼科秀樹。再び真琴に近づこうとした蓼科を保奈美は、真琴を救う形で葬り去った。
真琴の犯行の裏に、保奈美の影。真琴の頬の傷を見て、そのことは何も告げず、聡の指を切り落とす保奈美。
「思い出させない」p249母が言い切った言葉。
真琴を守るのは、警察でも法でもない。母ただ一人。
もし、警察が真琴を犯人として検挙しようとしたら、保奈美は自分がすべてやったこととして自首しただろう。
夫。靖彦の男としての楽天的な考えが頼りなくなる。母親の強さを感じる。
坂口、谷崎の章
捜査一課の二人。洞察力に優れた新人谷崎と、地道な捜査のベテラン坂口。
猟奇殺人の犯人を追い詰める。
●2章 坂口、谷崎
「藍出市幼児殺害事件捜査本部」
坂口 スーツ 胸ポケット たばこ 一課四係 50手前 ごま塩頭 剣道5段(p149)
15日 午後8時 第1回捜査会議
谷崎ゆかり 一課四係 黒いパンツスーツ 剣道6段(p150) パンプス カツ丼
p17 「そうだった、谷崎くんだ」(坂口は女性を”くん”づけ)
p19 捜査一課 係長 里田
p20 被害者 矢口由紀夫 4歳 のうさぎ幼稚園年中 父:正敏32歳工務店勤務 妻:晃代29歳専業主婦
発見場所 藍出川の河川敷、藍出川橋のたもと。
段ボールがかぶせてあり、地面に敷かれた段ボールの上に遺体があった。
14日 サンズマート藍出市店 母と来店 午後5時頃レジで支払い中に失踪
店内防犯カメラ 午後4時32分 入店 5時3分 一人で外へ
店外防犯カメラなし
p22 遺体の状況:
死後に性器が切り取られている。鋭利な刃物。肛門粘膜に擦傷。死後に性的暴行。グリセリン、プロピレングリコールなど潤滑剤、コンドームが使用された
死亡時刻 14日午後7時~午後8時
死因 頸椎圧迫。
損壊後、体の表面だけでなく、手足の爪の間もブラシなどで丁寧に洗われた。酸素系漂白剤で遺体を拭いた。
●5章 坂口、谷崎
16日 月曜日 遺棄現場付近の聞き込みを担当
坂口 8年ほど前、強盗殺人事件 女刑事の顔に傷を負わせた。
p61 「谷崎くん、君ねぇ……」(坂口は女性を”くん”づけ)
p62 1軒目 小太りの女性 ミーガン法
p64 4年ほど前、すぐ隣の大美戸市 連続婦女暴行事件 被害者 中学生から高校生の女性
p70 強姦致死罪<殺人罪 罪の重さ
──魂の殺人。
強姦は、魂を殺す。肉体を殺す。未来を殺す。
●8章 坂口、谷崎
16日月曜日
p108 不審者発見の通報。由紀夫遺体発見現場から徒歩30分 生活安全課が急行
●11章 坂口、谷崎
21日 土曜日(p149)
p143 蓼科秀樹15歳 大美戸市で起きた強姦事件の犯人。少年院へ
顔見知りの中高生を強姦。蓼科の主張は合意の上。
蓼科 ガソリンスタンドでバイト
p148 真琴と会う
(※金曜なので真琴は制服姿)
「田中くんは、何段かな?」
(初:真琴はやっぱり男? 再:坂口は女性も○○くんと呼ぶ)
p150 古い防具入れ
(※既に新しい防具入れ持っている)
●14章 坂口、谷崎
22日 日曜日
土曜日の深夜 捜索していた警官の一人が発見。
被害者 三本木聡 母:那奈
白田病院の跡地
22日午前1時 発見
最後の目撃 土曜日の朝9時過ぎ 死亡推定時刻 14時から16時
指が10本切り取られていた(中華包丁のようなもの)
p189 谷崎 二極性を感じる 異常な執着、激しい憎しみ、愛情
p196 真琴 防具袋注文 3週間前 引き渡し 先週の土曜日
昨日見たのは古い防具袋。
●17章 坂口、谷崎
p228 サンズマートの担当 宮本
24日 火曜日
p234「あら?この住所って--」
(谷崎が真琴の住所と保奈美の住所が同じことに気付く)
p236 蓼科の部屋
卓袱台:男児2人の遺体のポラロイド写真
シンク下収納:男児2人の性器、切断に使用されたとみられるカミソリの刃
ユニットバス:酸素系の漂白剤
畑の道具箱:値の付いた包丁
蓼科 車を探していた。シルバーのスバル。最近見つけた。
(初:関係のない話 再:真琴の父と認識し、真琴を探した)
坂口と谷崎 保奈美から再度詳細を聞く任務。(目撃調書を取るため)
p238 真琴を見かける。幼女の手を引いて歩き去っていく。
(初:再び殺害するのか 再:薫を連れているだけ)
まとめ 坂口、谷崎
あと一歩で真琴に辿り着きそうだった谷崎。
藍出署からの電話で犯人が蓼科秀樹で自殺したと告げられる。
完璧なアリバイのあった蓼科秀樹。谷崎は納得したのだろうか。
何度も食い下がった谷崎、保奈美への調書の後の展開が気になる。
そのまま捜査が進んでいれば、確実に真琴は追いつめられただろう。
まとめ 謎など
満足できましたが、保奈美の章で被害者を思う感情が少し余分だった気がします。
でも、これがないと読んでても保奈美が将来の被害者の母親になるのを不安がっているように感じないかもしれないので、難しいですね。
大きな謎があります。
16日の月曜日。薫が誰かに連れ去られてスマホをマンションに忘れてきた時ですが、その日の17時過ぎに真琴が保奈美にメールを送ります。
「延長頼まれた。遅くなる」p82
実際、真琴はこの時、三本木聡の様子を見に行こうとしていて、この嘘のメールを送りました。
保奈美は17時前に保育園に到着していますp53
その後帰宅して薫がいるのを確認し、安堵してからようやくスマホの画面を見ますp86
未読メールは4件
・会場の都合で……
・納車先がうちの……
・薫は俺といる……
・公園もどってきたけど……
全て靖彦からのメール。
これに真琴のメール「延長頼まれた。遅くなる」も未読でないとおかしいけど。
誰かがスマホを操作したのか?真琴のメールは受信すると既読になるようになっているのか?真琴が送信先を間違えたのか?
やっぱり、保奈美と真琴の母親は別人なのか?
大きな謎かな^^
もう一つ
17日の月曜日 「やだぁ、ママを待ってる。昨日、約束したもん」p91
薫が真琴と約束したと言っているけど、16日の日曜日に二人が会話した様子は描かれていない。
3章が16日の真琴の1日だが、1章から薫が目覚める前にサンズマートに行き、帰宅後も薫が寝たと思われる自室に帰る様子しか描かれていない。
その後、目を覚まし会話したのかもしれないけど。
もしかしたら薫が夢で約束したかも?
これはどうでもいい謎かな^^
「聖母」のつづき
この小説のつづきを書きました。
よろしければどうぞ。
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