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④「どちらかが彼女を殺した」のつづき【ネタバレ】仮定

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目次

④ 仮定

加賀はビールの入ったグラスに手を持っていき、一口飲んだ。
「ここで少し視点を変えて、園子さんの遺体を康正さんが発見せず、警察が捜査した場合を考えてみてもいいですか?」
「おもしろいね」康正は興味を持ち加賀を見た。加賀は話し出した。

これより読み進めると犯人がなんとなく示唆されます。
犯人を自分で推理したい人は、読まないでください。
康正が本編でどう推理したかは ⇒ コチラ

警察は現場に到着して、園子さんの部屋の中に入ります。
警察は様々な証拠を手に入れます。
ドアチェーンが掛かっていないこと。コードの切断に包丁を使ったこと。遺書がないこと。床に落ちた砂や土の小さな粒。キレイに整えられた室内なのに屑籠からティッシュやDMが転がっていることなど。他殺の可能性を考えるには十分な証拠を入手します。
流しに置かれたグラスからは、誰かが園子さんと会っていた可能性を得ます。
合い鍵が郵便受けに入っていることと、争いのあとがないことから顔見知りの犯行であると判断するでしょう。

犯人は、金曜日に園子さんと和泉さんが話したことを知りません。園子さんが発見されるのもいつになるかわかりませんでした。発見される時間が経過しても、犯人にとって死亡推定日時をなるべく正確に判断してもらう必要がありました。特に日にちについて。
そこで、園子さんの死体をあまり痛めないように胸のコードをずらしておきました(145)。

警察の捜査は進み、冷蔵庫に貼られた紙から、佃と弓場の存在を知り、容疑者と考えます。

警察は2人のアリバイを追求します。

二人は、最初は抵抗するかも知れませんが、少しずつ園子さんが殺害された夜のことを話し始めるでしょう。

特に園子さんの部屋に弓場が来るまでのことは、弓場と佃にとって共通のアリバイですので、共に本当のことを話します。

佃は弓場がビニールロープを持って部屋に入ってきたことを警察に話します。弓場はビニールロープのことを自供するでしょう。警察も現場からビニールロープを回収しているので、弓場に殺意があったことを認識します。

警察はこの時点で、二人に園子さんへの殺意があった情報を得ます。
二人のうちどちらかが園子さんを殺害したと、さらに追及を始めます。園子さんの部屋からは、二人とも園子さん殺害のため訪れていたので指紋は残っていませんでした。
警察は改めて、アリバイを確認します。

佃については、園子さんの部屋を出てからのアリバイは佐藤さんの証言もあり、2時までは完璧。

弓場については、佃が帰ってからはひとつも証明することはできません。佃に2時に電話を掛けたのも、園子さんの部屋からでも可能です。

さらにこのアリバイ証言によって自殺が否定されます。
2人が翌日の土曜日に電気を消したことから、明るくなってからの自殺はなくなり、もし自殺の可能性が残るとして、タイマーが1時にセットしてあれば、夜中の1時に自殺ということになります。園子さんが弓場が出て行った後に目を覚まし、12時20分から自殺の準備をしたというのは考えにくい。自殺の可能性はほとんどなくなり、他殺は確定的となります。

警察は園子さんの体に付けられていた絆創膏について、弓場が救急箱に届かない点を疑い、佃に追求します。
佃は、最初の殺害計画の時に絆創膏を使用したといいます。
それを利用すれば、弓場でも絆創膏を利用することが可能になります。結局、絆創膏は誰が殺害したのかの決定的な証拠にはなりません。しかし、最初の犯行時の佃の証言に、真実味を与えることができるでしょう。

そして最後に佃は、園子さんの手紙を警察に提出し、自分は犯行を思いとどまったことを訴えます。

二人から自供がとれない警察は、証拠とアリバイから犯人を特定します。
本当の犯人ではない方を犯人と警察は特定したでしょう。

————————

加賀は一気に話した。康正は驚きを隠せない。
「そうなのか?」
「可能性です」加賀は首を振りながらこたえた。
「これは犯人が考えた筋書きです。園子さんを殺害し、相手を犯人にしたかった人物が考えた…」
「俺が何もしなければ、犯人はそうなったのか」康正は壁に体を反らせ、うなった。
「そうかもしれません。しかし今回は犯人にとって誤算があった。警察が発見する前に、和泉さんに園子さんを発見されてしまった」

⑤ につづく

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