オススメ度★★(緊張感がない)
台湾の第三回島田荘司推理小説賞を受賞した作品
香港で映画も制作されています。
元は中国語で書かれたもので、稲村文吾さんが訳されています。
翻訳本特有の読みにくさがあり、登場人物が毎回フルネームなのも気になります。何か読みやすいニックネームになればと思いながら、読みました。
内容紹介
企業の機密データを人質にとった誘拐事件が発生。意表を突く身代金受け渡しトリックが。カナダで暮らす大富豪華僑の息子が謎に挑む!内容(「BOOK」データベースより)
国際投資銀行A&Bから機密データが“誘拐”された。データが公開されれば新たな金融危機が起こりかねない。データにアクセスできたのは、大手ソフトウエア開発会社クインタス担当のアナリストたちのみ。とばっちりでアナリストたちと一緒に軟禁状態にされた情報システム部の植嶝仁は、一歩間違えば父親が率いる財閥までが巻き添えを食うと知り、“誘拐犯”の正体を暴こうとするが…。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
文/善
1980年香港生まれ。十五歳で家族とともにカナダ、トロントへ移住。ウォータールー大学で会計学修士課程を修了。公認会計士と公認ビジネス評価士の資格を取得。現在は四大会計事務所(ビッグ4)の一つでトロント事務所、バリュエーション部門に勤務。台湾推理作家協会の海外会員。2013年に『逆向誘拐』で第三回島田荘司推理小説賞を受賞稲村/文吾
早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中はワセダミステリクラブに所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)出典:amazon
誘拐されたのは機密データ。しかし会社にはしっかりと元データがあるので、これは誘拐といえるのだろうか。
誘拐であれば、返す見返りに金銭を要求するのが普通。
外部に漏れると大きな損害を出すデータの流出とめるために奔走する序盤。
金銭の授受に現代らしい方法がとられて、面白い。
終盤。
誘拐の意味を知る。が目的を知って驚き、、、
あまりオススメしません。
映画化には映像向きな場面もあるし、一応ラストは意外なので向いているかも。
文章で読むより、映像の方がよさそう。
石小儒:蘇麗珊(左)
植嶝仁:呉肇軒(右)
日本では公開されるのかな?
これ以降ネタバレ注意
ネタバレしてます。
コピーが残っているのに、データが誘拐されたということに違和感を持っていたら、その裏で植嶝仁が誘拐されていた事になっていたことには驚いた。
父と会ってそのことに植嶝仁が気付くのだけど、読者にはまったく情報がない。
もうちょっとそのことを気付かせてくれるような描写があると、うっすら気づくことができたりしてよかった。
amazonの内容紹介にも本の帯にも、機密データが人質みたいにあるけど、本当の誘拐はこの描写のない誘拐のことなんだろうね。
金銭の授受で、ネット売買を利用するのは面白いと思ったけど、その先どうやって犯人が手にするのか楽しみにしていたら、結局、犯人が入手する目的でなかったというのが残念。ここからそんな方法があったかと驚かせてくれると期待していたので、
普通誘拐の目的は多額の身代金。人質の安否と金銭の授受、犯人とのやりとり。ハラハラドキドキの展開を期待する。
機密データは死なないし、傷つけられない。身代金も少額。犯人とのやりとりもほとんどなし。
イマイチ緊張感がなかった。
結局は、壮大なイタズラというオチ。
損害を被ったのは植嶝仁の父親(会社)だけど、犯人の石小儒を損害を契約金にして雇用したいとは。父親側ではどんな誘拐劇があったのか、ちょっと知りたい。
マキノの章で終わる物語。
宝石ファンドのゲーム。ホテルのフロントに預けるだけなのがゲームといえるのだろうか。見ず知らずの人間の支持に従う。こんな人が都合よくたくさんいたから成り立った話。
一歩間違えば、振り込め詐欺に簡単に騙される人達がいるということ。
コーンフレークに参加した人たちも、騙されてもいいとお金を払って参加していることに驚き。
ネットにはそんな人達がいっぱいなのかな。
そんな感じもするけど、そんなことないだろう。
「逆向誘拐」とは、目的が誘拐で、手段がお金。お金をファンドで集めて誘拐を実行する。身代金を目的とした「誘拐」とは真逆。
お金で人々を参加させ、金銭授受に協力してもらい警察を翻弄した。
真の目的はあったのだろうか。
イタズラだと知恵比べをしただけになってしまう。
そんな人もいるんだよ、で片付けられるのは寂しい。
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