オススメ度★★★★(山岳小説としてもサスペンスとしても面白い)
元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、山岳部で苦楽をともにした同期だった。急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が東京から逃げてきている、という話を聞かされる。厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかないと言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきた―。
出典:Amazon
馳星周さんの本をはじめて読みました。
とても面白く、最後まで展開が気になり読み進められました。
自分も山を登りをしてました。小説の舞台となる白馬岳にも登ったことがあるので、季節は違うけどその頃の情景が浮かんでより楽しめた。
白馬頂上宿舎にも泊まったことがあり、白馬山荘は利用したことがないけど、山荘の巨大さは覚えている。
物語の最初は、大学の元山岳部の同期二人が偶然出会い、他に女性を一人交えて一緒に白馬鑓温泉小屋で過ごす、残雪期の登山の魅力を伝える内容で久しぶりに登山したいなと思わせられた。
途中には、大学時代の苦しい山行の様子が描かれ、山屋としての結束力の強さを伝えてくる。
どうして苦しい思いをして、登るのか、やらない人にはわからない感情。
山だけでなく、公安刑事の池谷博史が抱えた謎が気になり、物語に引き込まれるオススメの山岳小説です。
ここからネタバレします。
山で誰も死なせたくないという思いを持つ得丸志郎。
自然の力を利用して追手から逃れ、1人を救い出したために、再び窮地に陥る。
追う男の強い執念。北の脅威という想像でしか認識できないもの、理由はわからならい。やらなければ殺されるから。(家族も?)
実際に池谷のように日本に忍び込んでいる北の人たちは多いのだろうか。怖い。
池谷(キム・チャンス)の思いはすべて語られない。
池谷が公安でどういった情報を北に流していたのか。どうやって育ったのか。
池谷側の物語も読みたい。
最後はここでおしまいか、という感じ、どうなったのかはわからない。
池谷は無事故郷へ帰ったのか。(無理かな)
得丸は職場にどう伝えたのか。
若林の妹と遺体を探しに向かったのか。そして無事発見したのか。
その後も気になる小説でした。
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